ガチ甲冑合戦・信長プロジェクト 第一回目
伊勢・安土桃山城下街 6月25日

三重県伊勢市にある安土桃山城下街で2017年6月25日、第1回目のガチ甲冑合戦・信長プロジェクトが開催された。
ガチ甲冑合戦・信長プロジェクトは約2年間をかけて、織田信長の主だった合戦をガチ甲冑合戦方式で再現しようというものだ。
一般参加者の槍隊の激突も、武術家や格闘家達の集団戦や一騎討ちもガチンコ勝負だ。だから、勝敗の行方はわからない。2年間の間に幾つかの戦いを経て、歴史と違う方向に信長プロジェクトは進み、最後は信長が生き残って天下を統一するかもしれない。
そんな期待を抱かせてくれる信長プロジェクトだが、第一回目は織田勢と今川軍(松平元康・後の徳川家康)戦いで、桶狭間の合戦の前哨戦。史実では織田軍の丸根砦は陥落、佐久間盛重らが討ち死にとなっている。
史実通リになるかどうかをガチ甲冑合戦でやってみた。
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合戦の当日は、NHKテレビほか、フランスからもジャーナリスト達が駆けつけ、地元メデイアを含め多くの取材陣が待ち構えた。
安土桃山城下街は、その名前からご想像頂けるように時代物をテーマとしたアミューズメントである。
1層目は里(城下街)、2層目は砦、3層目は天守閣(安土城の原寸復元)という構造だ。安土桃山から江戸時代の街並みになっていて、スッタフも全員が着物を着ている。
なぜ、安土桃山なのに江戸時代の民家や遊郭、奉行所があり、スッタフや役者の衣装も時代が統一されていないのかという疑問はあるが、あえて気にせずガチ甲冑合戦を演出することにした。
いざ進軍
私は今川軍(松平)の酒井忠次役で、松平勢の先頭に立って行軍の指揮をとった。
松平勢は砦の麓の里(1層目)に侵攻し、織田兵が隠れていないか虱潰しに家々を調べた。逃げ遅れた町人(実は逃げ遅れたスタッフ)を捕らえて詰問したり、僅かな距離を進むにも手間がかかった。
実際、戦国時代も敵の領地に侵攻すれば、こうした状況だったのだろう。どこに今だに敵が隠れているかわからない、しかし家々を調べている時間はない、では村に火をつけて、こんな調子だったのだろう。
民家に並ぶ狭い道は、敵が潜むのに丁度よく、気を抜く暇がないのでストレスがたまる。
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敵の奇襲

そして、ちょうど里の中央辺りの民家を調べていると、数人の織田兵が煙幕や目つぶしを使って奇襲攻撃を加えてきた。
これに今川軍(松平勢)の将兵たちが対応し、乱戦となったが撃退。
しかし殿(松平元康)の周辺が手薄となっている。
私は{だめだー、臨時採用の足軽兵では、ビビッて引いている}と思いつつ大声で「殿守れー、深追いするな、陣保て」と檄を飛ばした。
とにかく、織田軍よりこちらの方が軍勢は多い。少々のことでは大丈夫と考えて行軍を続けることにした。
ストレス、逃亡兵
1層目の里を抜け2層目の砦までは急激な坂道が続く。

行軍の途中、後ろを振り返ると、近習隊の周辺の足軽達が隊列を乱している。

私は行軍を停止させ、足軽達を怒鳴りつけて活を入れた。砦までの茂みは徹底して長槍で突いて伏兵がないことを調べた。ここで襲われると非常に不利だ。
丸根砦の近くで行軍を止め、全軍にこれより丸根砦攻めにかかることを伝えた。
行軍を開始して、僅か30分なのに、この地点に来るまでに将兵達はかなり疲れていた。
装備と坂道、いつ何があるか分からないストレス、これらの全てが攻め手の私たちに圧し掛かっている。そのとき、物陰に立っている足軽兵を2人発見した。
数人で槍や刀を突き付け捕らえた。よく見ると今川軍(松平勢)の逃亡兵だ。実際、戦国時代も、こうした逃亡兵は行軍の途中で結構いたのかもしれない。
突入、攻め手の不利

私は殿の周辺を固めさせた後、一気に丸根砦前まで軍を進め置楯を設置して陣を張ることにした。
砦前への侵攻を開始すると、織田軍は弓を射かけてきた。

置楯の後ろに隠れながら、何とか布陣。こちらも弓で応戦。少し織田軍の攻撃が止んだタイミングで、槍足軽隊の突入を試みた。

織田軍は砦前に竹垣、置楯で2重に防御ラインを構築している。3度の突入を試みたが失敗した。今度は織田軍の槍隊が砦から打って出て、印地を投げて怯ませたのち今川軍(松平勢)の置楯を倒し今川軍(松平勢)の陣形を崩そうとした。
その突入力とエネルギーは、今川軍(松平勢)より遥かに強かった。
それでも、なんとか防御を突破されなかった私たちは、武術家や格闘家で構成する精鋭部隊で押し出した。織田 軍も同様の精鋭部隊で迎え撃ち、両軍が激突した。

しかし、私達はたちまち織田軍に押し戻され、囲まれ、今川軍(松平勢)の置楯の後ろへ撤退した。
私達全員がかなり疲れていた。山道を装備を持って行軍し、その途中で敵の奇襲を排除しながら城や砦を攻めることの難しさを実感した。
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