![]() ガチ甲冑合戦でわかった実戦で最強の「日本武術」 [ 横山雅始 ] |
東邦出版社から発売されている「ガチ甲胄合戦」より、今回は刀で現代の防刃服は斬れるかのお話を抜粋です。
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刀で現代防刃服は斬れるか?
私の生徒の一人が数万円の防刃服を提供してくれた。
日本刀でこの防刃服を切れるかどうか実験してみようという話になった。
使用した刀は第二次世界大戦中に岐阜県関の刀工が制作したもので、中心には銘と年代が刻んであり、刀身には三本杉の波紋が浮き上がっている。
とは言うものの当時としては丁寧な作で、おそらく将校への注文打ちと思われる。刀剣登録は 平成4年に和歌山県で行われている。
刃長、64 cm 鞘を払った重量1200 g 元重0,8 cm 先重0,55 cm 元幅 3,2 cm 先幅2,3 cm 刃角35°

※写真 軍刀
実は古刀を使って試してみたかったのだが、結果がどうなるか分からないのに古刀を使うのは気がひけて軍刀を使用した。
強い斬撃を加えるのではなく、そこそこの斬りつけに対してどうなのかということが知りたかったので次のような斬り方をした。
床に右足前で膝をつき、中段に構え軽く振りかぶって袈裟懸けに斬る。

※写真 試斬1

※写真 試斬2
標的は乾燥した畳表を何重にも巻いて直径約30cm位にし、これに防刃服を被せた。
初撃は長さ10cm程度の切創、長さ4cm程度が完全切断。
畳表は深さ2cmの切り傷が4cm程度の長さに至った。
次に防刃服を2重に折って標的に被せて斬ってみた。
2重になった状態でも3~4cmが完全切断。
深さ3cmの部分が約2cmの長さに至った。

※写真防刃服1
もう一度、1重にして被せて何度かやってみた結果、写真防刃服1のようになった。
もしこの防刃服を着ていて刀で斬られたら、たぶん重傷を負うであろう。
刀はどうなったかと言うと斬る回を重ねるごとに切れ味が落ち、数回で研ぎ直しが必要となった。
次にアーミーナイフでこの防刃服に斬りつけてみた。
全く通じなかった。突けば、もちろん大きな穴があいた。
ちなみにコピー用紙30枚を1枚ずつをボンドで貼り合わせて非常に分厚い厚紙を作り、これを固定して斬ってみた。
結果は何度やっても最後まで切断できない。
刀で突けば1cm~2cm程度貫通したが、アーミーナイフで突いたら貫通した切っ先は2mm程度だった。
なぜ紙で実験したかというと、戦国時代に紙や革を重ねて漆や膠で固めた安価な足軽胴があった。
果たして防刃効果がどれくらいかを知りたかったのだ。
結果は現代防刃服より戦国時代の紙を重ねて制作した足軽胴の方が、防刃効果が高かったことになる。
言いかえれば紙や革の甲冑も、鉄の甲冑ほどの効果がないにしても合戦で十分役に立ったということだ。

※写真 紙革 足軽胴 古物
公式HPはこちら↓
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