実戦刀には寝刃合わせ 後編

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前編に引き続き東邦出版社から発売されている「ガチ甲胄合戦」より、刀の寝刃合わせについてのお話を抜粋です。


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鈍刀を斬れる刀にする方法


時代劇や映画で斬り合いをする前に、刀の切先から物打ちあたりまでを砂山にザクザクと何度か差し込んでいるシーンがあるが、あれは一種の寝刃合せ(ねたばあわせ)である。


化粧研ぎをしたり刃先まで綺麗に研ぎ上がった刀は、実用刀としては優秀とは言えない。


例えばテッシュペーパーを小さくたとんで何重にも重ねて丸め、刃先に当てて引いてみる。


どれだけ食い込んで切れるかで切れ味がわかる。鏡のように綺麗に研磨した刀はテッシュペーパーの上を滑って切れ込みが浅い。切れ味が悪いということだ。


では砂山に突っ込む代わりに耐水サンドペーパー1500番を水につけて小さな板(幅3cm、長さ10cm程度)に巻き、鎬から刃先方向にかけて10回程度擦る。


これを3cmくらいずつ移動しながら行い、物打ち全体に寝刃合わせを行う。


そうするとテッシュペーパーへの切れ込みが深くなる。



綺麗に研ぎ上がった刀.jpg
※写真 綺麗に研ぎ上がった刀



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※写真 テッシュペーパー



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※写真 テッシュを刃先に



テッシュ切れ込み(浅い).jpg
※写真 テッシュ切れ込み(浅い)



サンドペーパー寝刃合わせ方法1.JPG
※写真 サンドペーパー寝刃合わせ方法1



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※写真 サンドペーパー寝刃合わせ方法2



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※写真 寝刃合わせ後 



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※写真 テッシュ切れ込み(深い)


重ねた新聞に刃を乗せて切るとザックリ切れる。


もちろん刀身に傷をつけるので見た目は良くない。


この作業は決して刃先のみを行おうとしてはいけない。


刃先のみを行うと一時的に小刃を付けたことになり、何度もやっていると刀身の変形を招いてしまう。



寝刃合わせ刃先のみ.jpg
※図 寝刃合わせ刃先のみ 



寝刃合わせ平地全体.jpg
※図 寝刃合わせ平地全体
 


話を戦国時代に戻そう。



おそらく戦国時代は寝刃合わせの必要がなかったのではないだろうか。


というのは折れず曲がらず良く斬れるという3要素を求めたのではなく、折れず曲がらず丈夫で操作性がいい、という要素が必須であったはずだ。


甲冑戦なので重ねの厚い蛤刃の刀で、刃こぼれしにくく折れにくい刀が好まれたはずだ。


刀の研磨に関しても美術的価値を求められた訳ではないので、研ぎについては荒砥(整形)>中目の砥石>細目の砥石 この程度で十分であったはずで、実際にこの程度の研ぎの方が良く斬れる。


たったの3工程だ。


刀身には砥石目が残っていて寝刃合わせと同じ意味合いを持っている。
 


柔らかい標的であれば化粧研ぎを付してあっても刃角さえ鋭ければ良く斬れる。


現代は居合用の軽量で肉薄(刃角の鋭い)などという刀もある。


しかしこれは平和な時代の据え物斬りという観点であって、戦闘用の武器という観点ではない。


以前に綺麗に研磨された軍刀で刃角が40°近い刀を手に入れたことがある。


まさにナタであり刃こぼれの心配がない。しかし巻藁を斬ることすらできない。


日本刀の刃角は30°程度と言われている。ナタになると35°以上ある。刺身包丁や柳刃包丁で15°~20°程度。


しかもこの刀は蛤部分が刃先に近い。研ぎ直して蛤部分を鎬方向に引き上げ刃角を鋭利にする方法もあるが、これは実戦刀としての意味を失う。
 


そこで一切研ぎ直しをせずに1000番の耐水サンドペーパーで寝刃合わせをした結果、布を巻いて吊るした豚肉の塊を斬ることができた。



直径7cm程度の青竹も斬れた。



竹切断.jpg
※写真 竹切断


しかし、耐水サンドペーパーでインスタントに寝刃合わせをしても刃持が悪いので(長く切れ味が続かない)ので砥石を使う方がよい。


どの程度の目の砥石を使うかは刀身の硬さによって考慮しないとかえって切れ味が落ちる。



同様の蛤刃の新々刀を手に入れた事があり綺麗な化粧研ぎがしてあったが、これは最初から研磨をやり直して内雲砥を引いて終了した。もちろん刃角の変更はしていない。
 


日本刀は引き斬ることによって斬れるという特性があり、図のように刃角が鋭くなる。

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※図 刃角の変化


しかし標的の表面を刃が滑ってしまうと食い込むことができず、鋭い刃角に変化しない。


そこで寝刃を合わせて、あえて刃先を少し荒らすことで食い込みを良くすることができる。

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※図 刃先



刃先拡大イメージ図.jpg
※図 刃先拡大イメージ図
 


竹を使って寝刃合わせの実験をしてみた。


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※孟宗竹1


孟宗竹を割り写真、孟宗竹1のような竹の板を製作した。


この板の片方を約60°くらいの刃角となるように削った。


この刃角では鉄製の刃物でも物を切れない。

竹の刃断面.jpg
※写真 竹の刃断面 


写真の左側の刃の部分に200番のサンドペーパーで寝刃合わせをした。



竹、寝刃合わせ中.jpg
※写真 竹、寝刃合わせ中 


新聞紙を4つ折りにして引き切りして見た。


寝刃合わせした竹刃は新聞をザクザクと切ることができたが、そうでない竹刃は全く切れない。


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※写真 新聞紙竹切れない 


新聞紙・竹で切れた.jpg
※写真 新聞紙竹で切れた
 
公式HPはこちら
http://armoredsamuraibattle.web.fc2.com/index.html

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