実戦刀には寝刃合わせ 前編

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。

ガチ甲冑合戦でわかった実戦で最強の「日本武術」 [ 横山雅始 ]
価格:2160円(税込、送料無料) (2016/9/19時点)



東邦出版社から発売されている「ガチ甲胄合戦」より、刀の寝刃合わせについてのお話を抜粋です。


******************

まず大まかに日本刀の研磨工程を説明すると下記のようになる。


ただしこれは美術研磨の大雑把な工程である。


江戸時代までの差込研ぎとは違う仕上げ工程(化粧研ぎ)が加えられている。


刀身の各名称.jpg
※図、刀身の各名称


下地研ぎ

*荒砥 朽込み錆や強烈な刃こぼれ、そして全体の整形を行う。
この砥石での砥は刀身を痩せさせることになるので、よほどでないと行わない。

*改正砥~中名倉砥~細名倉砥
荒砥で研いだ刀身の砥目を次第に細かくしていく。中名倉砥、細名倉砥と次第に細かく研ぎ、砥石目を消していく。



仕上げ研ぎ

内曇砥 
下地研ぎ砥石は刃が黒くなるが、内曇では刃が白くなる。
内曇砥は何種類もあり、種類によって性質が異なる。下地研ぎは人工砥石でも行えるが、内曇は天然の砥石を使う必要があり、刀身の硬さや時代性も考慮して内曇砥の種類を変える。内曇砥によって刃中や地鉄の働き(様子)が現われる。

*刃引き 刃の部分を中心に研ぐ。この作業を内曇を引く(刃引き)というが、これは引く力を主にするので(引く)と表現する。比較的柔らかい内曇砥を使う。

*地引き 地を中心に、固めの内曇砥で引く。

*刃艶 刃艶は内曇り砥を約1mmくらいの薄さにスライスし、約1cm角くらいの大きさにカットして裏側に吉野紙を漆で貼って裏打ちをして制作します。
すでに制作済みの刃艶も販売されている。
この刃艶を親指の腹に乗せて刃中を根気よく擦り、刃中の働きが現れるようにする。

*地艶 地艶は鳴滝砥を約1mmくらいの薄さにスライスし、これを親指の腹に乗せ細かく砕いて使う。これも制作済みが販売されている。
地鉄の特色である地沸、地景などがうまく現れるように擦る。

拭いを差す
地鉄に深い黒光りを与えるための作業。この拭いには酸化鉄を微粉末にしたものを丁子油に入れて数日おき濾過したものを使う。
刀の研磨作業でこの作業のみが油を使うことになる。酸化鉄は伝統的には鍛刀中に飛び散った金肌(かねはだ)と呼ばれる酸化鉄を使用する。
この拭いに使う材料も製品として販売されている。
等間隔でこれを刀身の上に置いて、区(まち)から切先に向けて上質の綿を使って上へ上へと拭っていく。
要するに微粒子の研磨剤で、刀身を磨くことで黒光りを出すわけで、この工程をやりすぎると今までの作業を無駄にすることになる。


化粧研ぎ

*刃取り
拭いを差すと刃中も黒くなってしまうので刃文全体を広く見せる作業が必要になる。
要するに刀に化粧をするような作業である。江戸時代までは差し込み研ぎ(刃文を白く研ぐというようなことはしない)で研磨を終了した。
しかし、現代では美術刀剣としてキレイに見せるために化粧をするというワケだ。刃艶砥を使って刃文を拾うように研ぐ。研ぐというより根気よく研ぎ汁で擦るという感じだ。このような研ぎを化粧研ぎと呼んでいる。


最近は中学生でも化粧をしているので刀が化粧をして悪くはないと思うが、ちょっと困った問題がある。


本来の刃文や刃中の働きが化粧で隠されて見えにくいことだ。


美術館などの陳列ケースの中に入っている刀剣は手にとって見ることができない。


光の当たり方を変えると、匂い口が見え本来の刃文が分かるが陳列ケースの中では分かりにくい。

化粧研ぎと焼刃.jpg
※図、化粧研ぎと焼刃


 ゲームの刀剣に慣れていても本物の刀を見慣れていない人は、化粧研ぎした白い部分を本物の刃文と勘違いしていることがある。


刃取り作業は刃文の形をざっくり拾いながら白くしていくので正確に刃文の形をしているわけではない。


悪意を持って刃取りすれば、焼き刃が殆ど残っていないような刀でも、大げさに刃を拾って誤魔化すことができる。欠点を誤魔化す化粧もできるということだ。


図のように焼刃と地の境を匂口というが、霧がかかったようにソフトなものを匂出来、粒子がはっきり見えるものを沸出来といい、どちらにしても焼き刃と地の境界線である匂口は存在します。


この匂口は化粧研ぎの場合、白く見える化粧の中に隠れていますが、匂口から刃先までが本当の焼き刃です。

*磨き
鎬地と棟を鉛筆のような形の鋼の磨き棒やヘラを使って磨いていく作業のことで、鎬地にも鍛肌を潰さないように鏡のように磨く作業である。美術刀剣としてコントラストをはっきりさせてキレイに見せるための作業。

*横手を切る
切先の下の線である横手部分に刃艶砥で筋を付ける作業だが、美術刀剣としてメリハリをつける意味合いが強く造形美という意味で行われている。

*ナルメ
鋩子(ぼうし)の仕上げ研ぎを行う工程。


このような複雑な時間のかかる工程を経て美術刀剣の研磨が行われる。


※では本題の寝刃合わせについて話していこう


時代劇や映画で斬り合いをする前に、刀の切先から物打ちあたりまでを砂山にザクザクと何度か差し込んでいるシーンがあるが、あれは一種の寝刃合せ(ねたばあわせ)である。


砂山に刀を突き込むシーンを見て、雑菌をつけて敵を斬った時に傷を化膿させるためと考えている人がいたら、本来の目的はそうではない。


化粧研ぎをしたり刃先まで綺麗に研ぎ上がった刀は、実用刀としては優秀とは言えない。


例えばテッシュペーパーを小さくたとんで何重にも重ねて丸め、刃先に当てて引いてみる。


どれだけ食い込んで切れるかで切れ味がわかる。


鏡のように綺麗に研磨した刀は、重ねたテッシュペーパーの上を滑って切れ込みが浅い。


切れ味が悪いということだ。



※後編では実際に鈍刀を斬れる刀にする方法の説明です。

公式HPはこちら
http://armoredsamuraibattle.web.fc2.com/index.html

*****スポンサーリンク*****





伝統作務衣専門の通信販売

種類豊富100品以上。和装小物も有り。

送料全国一律600円(税別)。代引手数料無料!


にほんブログ村 歴史ブログ 戦国時代へ
にほんブログ村